睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群について「睡眠時無呼吸症候群」という名前はなんとなく聞いたことのある方が多いのではないでしょうか?
潜在患者数は900万人~2200万人程度いると言われていて、特に男性に多いです。
簡単に言うと、「寝ているときに呼吸が止まって、眠りが浅くなってしまう」病気です。ひどい方は1分間以上も呼吸が止まっていることもあります。
昼間にとても眠気がある場合や、ご家族に「大きないびき」や「寝ているときに息が止まっている」ことを指摘されてご相談にいらっしゃる患者さんも多いです。
夜の睡眠中に、窒息状態になり、脳が覚醒してしまって、ずっと起こされているような状態になるので、夜中に目が覚めやすくなったり、深い眠りが少なくなったりして、睡眠に支障をきたします。また、睡眠の質が悪くなるだけではなく、呼吸が止まることで血中の酸素濃度が低下してしまうので、「疲れが取れない」「日中の強い眠気」「集中力・記憶力の低下」などが起きやすくなります。 最近の研究では、様々な生活習慣病、特に高血圧や糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞の原因の1つであることが分かっています。
検査もとても簡単になり、ご自宅で1晩簡単な装置を付けていただくだけでできるようになりました。保険適用となり、費用も3割負担の場合、PG(簡易)検査 2700円程度、PSG(精密)検査 12000円程度で入院の必要なく行うことができます。思い当たる症状がありましたら是非ご相談ください。

いびきについて

ここで、よくある症状の1つであるいびきについて御説明します。
いびきは、空気の通り道である上気道が、首回りについた脂肪によって狭くなったり、舌で狭くなったりした時に発生します。寝ているときは、舌やのど周辺の筋肉が緩むので、特に肥満がある場合は、気道が狭くなりやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群患者のいびきは、呼吸が止まるタイミング(無呼吸)または止まりかけるタイミング(低呼吸)が繰り返されます。診断基準にも、「無呼吸(10秒以上)が一晩で30回以上」また「1時間に5回以上無呼吸が発生する」とあり、検査で無呼吸と低呼吸の頻度を調べて、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時に現れるため、自覚症状に乏しいのが特徴です。しかし、血中の酸素濃度の低下や睡眠不足によって負担がかかるので、朝や日中に症状が現れます。
是非一度チェックリストでチェックをしてみてください。

チェックリストはこちら

  • 起床したときに頭痛がする
  • 倦怠感、疲れが取れていない
  • 熟睡した感覚がない、寝足りない
  • 口が乾いている、のどが痛い
  • 身体が重い

  • 強い眠気(居眠りしてしまうこともある)
  • 頭がぼんやりして集中できない
  • 息切れしやすい
  • 記憶力の低下

夜(睡眠中)

  • 強いいびき(家族にいびきを指摘されたことがある)
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 呼吸が止まる
  • 寝汗をかく
  • 呼吸が乱れる
  • 息苦しさがある
  • むせる

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は上気道が塞がり、気道が狭くなる(閉じる)ことが原因です。また、他の疾患や生活習慣の乱れ、体型・体質などが原因で発症するケースもあります。

  • 太って顎や首回りに脂肪がついている
  • アデノイド肥大・扁桃肥大
  • 寝酒の習慣
  • アレルギー性鼻炎
  • 顎が小さい
  • 舌が大きい
  • 鼻が曲がっている(鼻中隔彎曲症など)

肥満体型の人がかかりやすい傾向は確かにありますが、やせ体型の人でもかかる疾患です。

睡眠時無呼吸症候群が引き起こす病気

睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に呼吸が止まり、血中の酸素濃度が減少するため、脳や心臓に大きな負担をかけます。特に心臓に大きな負担をかけ続けると、心筋梗塞などが起きやすくなります。実際AHI30以上の重症睡眠時無呼吸症候群の患者さんはそうでない方に比べて5倍も心筋梗塞が起きることがわかっています。

睡眠時無呼吸症候群は以下の疾患リスクを上昇させる疾患なので、速やかに治療しましょう。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心不全

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時に症状が現れる疾患なので、自覚するのが難しい病気です。「日中に疲労感や倦怠感を感じている方」「最近、ご家族からいびきを注意された方」は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるので、まずはご相談ください。
ご本人の心当たりやご家族からの意見をもとに、スコアをチェックし、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあった際は、「終夜睡眠ポリグラフィー検査(機器)」を行います。
まずは、簡易検査(PG検査)を行います。保険適応となり、2700円程度で行うことができます。精査が必要な場合は、さらに精密なPSG検査を行います。
どちらも医師の指示により、ご自宅へ郵送される機械を1晩装着していただいて検査は終了となります。入院の必要もなく、入院による検査に比べて費用は夜寝るときに装着するだけなので、検査時の痛みや負担は一切発生しません。計測結果から睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、医師の指導のもとに治療を行います。一般的に行われているのは、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:シーパップ)療法という治療です。就寝前にマスクを鼻へ装着することで、一定の空気圧力を気道にかけ、気道の通り道を確保する方法です。これを行うことで、呼吸をスムーズにして睡眠の質・血中の酸素濃度を改善します。装着を正しく行えば、無呼吸や低呼吸はかなり改善されます。
また必要に応じて、鼻炎や副鼻腔炎などの耳鼻科系疾患が原因と起きている場合には、それに合った治療を提案します。
肥満が原因で起きている場合には、ダイエットや食生活の指導を行います。

※参考:睡眠時無呼吸症候群について
日本呼吸器学会

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