足底腱膜炎

足底腱膜炎とは

足底腱膜は足指の付け根からかかとの骨まで広がっている腱です。「土踏まず」を支える役割を持ち、歩行やランニングの衝撃を吸収する働きを持っています。この足底腱膜に痛み・炎症が発生する状態を足底腱膜炎といいます。かかとの前方は、歩行やランニングによる負荷を受ける部位です。加えて地面を蹴る際は足底腱膜によって強く伸ばされるため、足の中でも強い負荷がかかりやすいです。
足底腱膜炎はマラソンやサッカーなど、かかとに大きな負荷がかかるスポーツをしている方に多い傾向があります。また、革靴で長時間歩く方や立ち仕事をしている方や、偏平足の方、女性もかかりやすいです。
直接の刺激によって痛みが出る方もいます。底の薄い靴での歩行やフローリング、タイルの歩行も悪化の原因の一つです。

足底腱膜炎の症状

「起床したときの一歩」や「急に歩き出したとき」に、かかとに強い痛みが現れます。また、階段の上り下りやつま先立ちなど、つま先に負荷がかかりやすい動作を行うことで、痛みがひどくなりやすいです。
足底腱膜とかかとの骨の付着部に軽度の断裂が起き、進行すると患部の石灰化や骨化などが起きやすくなります。慢性化すると骨棘(こつきょく)というトゲ状の突起が発生して痛みがひどくなることもあります。
動き続けると痛みは軽減する傾向がありますが、夕方になると痛みが強くなるケースもあります。ただし症状の個人差があり、急な激痛が起きる方や、痛みが慢性化する方もいます。
ランニングやサッカーをされる方の中には、開始直後の痛みが落ち着いたからと運動を続けてしまい、その後に症状がひどくなる方もいます。

足底腱膜炎の原因

  • スポーツのオーバーユース(使いすぎ症候群)
  • 立ち仕事(工場勤務や教師、販売員など)
  • 加齢(足底腱膜炎は40歳~60歳の方に多く見られます)
  • 偏平足または、土踏まずが高すぎるハイアーチ
  • 外反母趾
  • 長時間の歩行
  • 肥満(元から肥満体型の方より、急激に太った方が多いです)
  • 合わない靴を長期間はいている

足底腱膜炎の診断

問診時には症状のお悩みや生活(スポーツを行っているか、仕事内容など)についてうかがっていきます。そして、地面を蹴り上げる状態や歩き出す状態、歩く状態、長時間立った状態など、かかとに強い負荷をかける状況下に痛みが発生しないかを確かめます。
足根管症候群、筋や腱の部分的な断裂、反射性交感神経萎縮症、足底腱膜線維腫症などの疑いが見られないと判断した際は、足底腱膜炎と診断します。X線検査を行うと骨棘が見つかるケースもありますが、その要素だけで鑑別が行いません。超音波検査は診断に有効です、足底筋膜の損傷や炎症による血管侵入などの評価が可能です。

足底腱膜炎の治療

投薬治療とリハビリテーションを行います。
投薬治療では、鎮痛作用のあるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤)の外用薬や内服薬を処方します。激しい痛みで日常生活に支障をきたしている際は、ステロイド注射を行うこともあります。しかし、頻繁に注射を行うと筋膜が弱くなりやすくなるので、筋膜断裂の発症リスクが高まります。そのため注射の回数は、活動性に応じて対応します。
リハビリテーションでは、普段の歩き方や、アキレス腱や足底筋膜のストレッチ、足底筋の筋力アップトレーニングなどを行います。また、肥満の方には減量の指導も対応します。
内科も併設しておりますので、食事指導や投薬含め総合的にご相談いただけます。
ストレッチなどは足底筋膜の柔軟性を取り戻したり、再発を防いだりするために実施します。
また、ご自身の足サイズや形に合わせた靴選びも重要です。足の負担を減らすインソールを装着することも大事なので、探してみましょう。

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