痛風とは
読んで字の通り「風が吹いても痛い」発作がおきる病気です。
お酒をたくさん飲んだり、美味しいものをたくさん食べたあとに発作が起きることが多いです。足の親指の付け根が腫れることが有名ですが、実は体のあちこちに起きる可能性があります。足の甲やかかと、アキレス腱や手首、肘、膝などでも発作が起きることがあります。
痛風の原因は、「尿酸」という物質が身体にたまることです。尿酸が高い状態を「高尿酸血症」といいます。痛風発作は、95%以上が男性に発作が起きることがわかっています。女性が少ない理由は女性ホルモンが尿酸を外へ排泄してくれる働きがあるからと考えられています。 高尿酸血症は慢性化すると痛風だけではなく、尿路結石や腎機能障害の発症リスクを高める可能性があります。痛みを解消させる対症療法だけでなく、生活習慣の改善や治療でしっかり尿酸値を下げましょう。
痛風発作について
痛風が最も良く起きる箇所は、足の親指の付け根です。赤く関節が腫れ、「風が吹いただけで痛い」といわれるほど激しい痛みが起きます。そこから「痛風」と呼ばれるようになりました。クリニックにいらっしゃる患者さんも、真っ赤に腫れた足を少し引きずりながら受診されることが多いです。
痛風発作はある日突然発生し、歩くのも痛い状態が数日続きます。鎮痛消炎薬やコルヒチンなどの痛風発作寛解薬を内服することが効果的です。
一方で、高尿酸血症があっても、痛風発作が見られないケースもあります。
尿酸が急激に上下することで痛風発作が起きやすくなるという報告もありますので、尿酸を下げる治療をしている場合は、急にやめないことが大切です。当院では、痛風の痛みを落ち着かせる鎮痛剤や、原因となる尿酸値を下げる薬の処方を含め診察しております。「痛風発作でお悩みの方」「足指が痛い方」「健康診断で尿酸値の数値結果を指摘された方」は、お気軽に当院までご相談ください。
痛風の原因「高尿酸血症」
痛風発作は、血液中の尿酸値が高い状態である「高尿酸血症」が原因で起こります。
尿酸というのは、「プリン体」が分解されてできる物質です。ビールなどで「プリン体フリー」と書かれていたりしますね。このプリン体というのは、本来は動くためのエネルギー源で体に必要な物質です。プリン体は、肝臓で分解されて尿酸となり、通常はちょうどよい量になるように尿や便に排泄されて調整されています。この調整がうまくいかないと尿酸が高くなってしまうのです。
ではなぜ尿酸が高くなってしまうのでしょう?
それには、尿酸がたくさん作られすぎてしまう場合と尿酸をうまく捨てられない場合があることがわかっています。また、尿酸値は遺伝や環境、食生活などの影響を受けるので、例えばご家族で尿酸が高い方がいらっしゃるとご本人も尿酸が高くなることが多いです。
診断は、採血検査で尿酸値が、7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。尿酸値の高い状態が続くと、過剰な尿酸が結晶化して関節にたまり、暴飲暴食やストレス、激しい運動などがきっかけとなって、痛風発作がおきます。尿酸の結晶は針のような形をしていて、関節にたまると激しい痛みがおきます。
また、最近の研究では、痛風発作が起きなくとも、尿酸が高いことで、「痛風腎」と言って腎臓に障害がおきたり、血管の動脈硬化が進むことがわかってきました。さらに高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を合併しやすいこともわかっています。「痛風発作が起きないようにする」だけではなく、将来のためにきちんと尿酸を下げておくことが大切です。
痛風の治療
薬物治療
痛風発作がひどい急性期は、痛みを落ち着かせ炎症を抑えるためにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの鎮痛剤やコルヒチンなどの痛風発作寛解薬を内服することが効果的です。尿酸の値が急激に変化しないようにこのときは尿酸を下げる治療は開始しません。
痛風の痛みが落ち着いたら、次の発作が起きないように、また、体にたまった尿酸を外に排泄させるために尿酸産生抑制薬や尿酸排泄促進薬を処方し、尿酸値をさげていきます。
特に内服をすぐにした方がよいケースは、
- 痛風発作を起こしたことがある方
- 腎臓病や尿路結石など合併症がある方
- 尿酸値が9.0ml/dl以上の方です。
食事療法
食事は、プリン体が多い食材を避けるようにします。
昔は「ぜいたく病」と言ったりして、美味しくて高級なものに尿酸は多く含まれます。
魚卵やイカ、ビールをはじめとしたアルコールや、ホルモン、レバーなどの内臓系にも多く含まれているので、これらをたくさん食べないようにしましょう。
外来ではよく「居酒屋さんでビールを片手にレバー串を食べるイメージ」とお伝えしています。
反対に、痛風発作を防ぐために食べるととよい食品は、アルカリ性食品である野菜やキノコ類、海藻類、イモ類、豆類などです。尿酸はアルカリ性~中性で溶けるので、積極的に食べましょう。
また、水分を1日2L以上しっかりとることもとても大切です。
痛風の予防
食習慣の改善
上記のように食事療法としては、プリン体の多い食事を減らすことです。
ホルモンやレバー、あん肝などの内臓を用いた料理、魚の干物、ビールを含むアルコールなどはプリン体を多く含むため、「たまに」「少ない量で」楽しめるとよいです。「禁止」ではなく、「たまに」は楽しめるところがポイントです。
お酒は、ビールだけではなく、アルコール自体が、体内で分解されると尿酸を生成します。飲酒も男性で2合程度、女性で1合程度までと、適量にしましょう。
また、肥満がある方はダイエットをすると効果的です。
水分をこまめに摂る
水分をたくさんとると、尿がたくさんでるので、尿酸を体外へ排出しやすくなります。
ぜひ1日2Lくらいを目標に十分な水分摂取をしましょう。尿路結石の予防にもなります。
飲み物の種類は、水やお茶にして、大量のコーヒー、ジュースやアルコール、スポーツドリンクは控えましょう。
運動は軽めに
ハードなスポーツを行うと体内の尿酸値を上昇させてしまいます。まずはウォーキングなどの有酸素運動から始めて、適正体重(BMI=22)を目指ししましょう。
ストレス解消
高尿酸血症と痛風は、強いストレスも原因の一つです。過労や睡眠不足にならないよう、きちんと休養と睡眠時間をとりましょう。また、趣味やリフレッシュできるものを見つけ、気分転換することも大変効果的です。